コンセプト

肌寒くなり始めた初秋の頃、冷たさと温かさという二面性が同居する質感のガラス加工技法と出会いました。
ガラスを分厚く加工することやエッジをきれいに出すことに長けたキルンキャストという技法です。
kiriiroではその技法を用いて「かおり箱・香皿・香立」の三種類を製作しました。
雨なのか空気なのか不確かな霧のような空気感を持ち、淡く曖昧な色合いを複雑に含んでいます。
洋室でも和室でも、季節を問わずあたりの空気に溶け込む存在です。
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かおり箱
香皿 長
香皿 角
香皿 丸
ご使用方法、シチュエーション : かおり箱

かおり箱は、蓋をあければあたりにかおりを漂わせ、蓋をしめればかおりを止めます。
常温でかおりを発する香料 7~8種類を調合したブレンド香を中に入れるので、火を点けたり消したりする必要がなく、取り扱いが容易です。
ご自宅の玄関やリビング、ホテルや旅館のエントランス・共用部分・客室、料亭の玄関やお手洗いなど、様々な場所で和の香りを漂わせることができます。
使用状況にもよりますが、2ヶ月~1年程度 ブレンド香のかおりは持続します。季節やそのときの気分で中身の香りを変えることもお勧めです。
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製作工程

kiriiro をご製作いただいているのは東京都墨田区に工房を構える「硝子企画舎」の井上剛さんです。
香雅堂のメンバーも何度も何度もお邪魔させていただき、商品開発の打ち合わせ・製作の体験・製法のインタビューなどをさせていただきました。
ここでは井上さんにご解説いただいた kiriiro の製法をご紹介させていただきます。

型製作:発泡スチロール
製作したいガラスの形に、発泡スチロール(のようなもの)をカットします。この発泡スチロールは使い回しが効かないので、100個の製品を作る場合は100個手作業でカットする必要があります。
型製作:石膏型
作った発泡スチロールの型を大きな容器の中に4つ並べ、その上から液状の石膏を流し込みます。しばらく待って石膏が固まったら、中の発泡スチロール型を壊してきれいに掃除します。
ガラスの色決定
作りたい製品の色にあわせて、使用するガラスの色を決めます。kiriiroの場合は淡い空気感を持つ「白・白緑・柳茶」の3色の組合せに最終的に決定しましたが、無数の選択肢があります。
原料となるガラスを量る
製品に必要な量のガラスを量ります。原料は1~2cm程度の不揃いな欠片たちの為、石膏型に入れるとかさばります。その為、石膏型は製品の体積に対して約2.6倍の体積となっています。
ガラスを石膏型にいれる
必要量のガラスを石膏型に入れます。不純物はできるだけ取り除きます。kiriiroの「白緑」は蛍光灯をリサイクルした原料で粒度が細かいですが、その他の2色は1~2cmの石ころのようなガラスが原料です。
ガラスを石膏型にいれる②
一番上の石膏型に原料となるガラスが入りました。残りの二つの型に同様にガラスを量り入れると、焼成の準備が完了です。写真は「香皿 長」の製作の様子ですが、約270gのガラスが製品ひとつに対して必要です。
電気炉で焼成
電気炉で焼成することによって「石膏型に入ったたくさんの欠片 → 一塊のガラス」にします。約850℃で焼成しますが、「ペンで押してもささらない程度」の固さで少しずつ型に沿ってガラスが溶け込んでいきます。
焼成が終わりました
ガラスが割れないように、時間をかけて冷まします。ちなみに硝子は「常温で固化状態にある、無機化合物の液体が過冷却状態になったもの」つまり限りなく固まっているように見える液体とのことです。
石膏型の破壊、kiriiro誕生①
焼成が終わったガラスを取り出すためには石膏型を破壊するしかありません。
石膏型の破壊、kiriiro誕生②
発泡スチロールの型も石膏型も一度限りしか使えませんので、とても手間がかかります。
石膏型の破壊、kiriiro誕生③
ついにkiriiroが誕生しました。しかし、表面はざらざらぼこぼこです。
石膏型の破壊、kiriiro誕生④
裏面はガラスが棘のように尖っています。これから長い長い研磨の工程です。
研磨の機械
回転する円盤に研磨剤を水で流しながら、ガラスを押し当てて研磨します。円盤の表面には人工ダイヤモンドが塗布されています。
研磨の工程①
まずは粗い目の円盤で研磨。かなりの力をかけています。エッジをきれいに出すためには20~30分程度必要です。
研磨の工程②
細かい目の円盤に交換して再度研磨。計6面の表面を均等に滑らかにするために、やはり20~30分程度かかります。
機械での研磨が終わって
だいぶ滑らかになってきました。しかしまだ、kiriiro 特有の表面の質感には至っていません。もう少し作業が必要です。
サンドペーパーで最後の研磨
目指す質感になるまで、ひたすら研磨します。
kiriiro 完成
ついに完成しました。