刀剣乱舞 2.5次元×香袋の空間演出
『麻布香雅堂』は2017年1月に、池袋・サンシャインシティで10日間にわたり開催された『刀剣乱舞-本丸博-』の空間演出に協力。会場における香りの演出の他、4種類のお守り型香袋を販売しました。
ゲームやアニメ、2.5次元と呼ばれる世界とお香。ミスマッチな組合せと思われるかもしれませんが、作品の世界観を体感出来るイベント会場で“和の香り ”を漂わせるという演出は、多くのファンの皆様に好意的に受け入れていただけたようです。
香りのサンプルを約15種類製作
私たちは通常茶室など、狭い空間でお香を用います。今回は「このように広大で、不特定多数のお客様が集まる会場でお香を効果的に香らせるにはどうしたらいいのか」を熟慮しました。衣裳など、他の展示物に香りを移すのはNGといった条件も考慮し、今回は常温でも香りを漂わせることができ、香り立ちがやわらかい“香袋”の使用をご提案。その上で、“刀剣男士“をテーマにした香りのサンプルを約15種類製作しました。
様々な香料を調合し、香袋を製作する
刀剣男士と日本の四季を香りで表現
会場には、春夏秋冬の草花を背景に刀剣男士を描いた金襖が展示されることになっていたので、香りも四季をイメージした4種類に絞ることに。同一の空間で香らせるため、4種類ともベースには誰にでも親しみやすい、ふくよかな甘さを感じる「白檀」と、刀の静謐な質感をイメージさせる「桂皮」を用いて統一感を持たせました。
さらに、それぞれのベースに8種類ほどの香料を調合。丁子・かっこう・龍脳・橙皮といった昔ながらの香木や香料のほか、ゼラニウムやネロリなど、現代的な香りも加えた“特別な香り”で、刀剣男士たちと日本の四季を表現しました。
入物には京都の老舗『龍村美術織物』製の裂地(きれじ) を4種類使用。抽象化された植物モチーフが織り込まれた上質な正絹生地を用いることで、金襖の世界観との一体感を持たせました。
金襖の間に展示された特別な香袋たち
会場の香りを持ち帰り、余韻を楽しむ
香りの感受性には個人差があるので、空間全体を香りで満たすのではなく、近寄ると香る程度になるよう、香袋の大きさや中に入れる香の量を調節。また、作品の世界観とリンクする香りを持ち帰り、後々までイベントの余韻を楽しんでいただけるよう、同じ裂地と香りで、携帯しやすいお守り型香袋を製造・販売しました。
お守り型香袋、イベントの余韻を持ち帰る
予想以上の反響にうれしい驚き
販売されたお守り型香袋は、連日昼過ぎには完売。購入された方々がSNS上で香りに関する意見交換を行うなど、後々まで私たちの作った香袋が話題となったのはうれしい限りです。
今回のプロジェクトを通し、「伝統的な和の香りによる空間演出の可能性」を改めて感じました。また、ファンの皆様のご意見を聞けたことも、私たちにとってたいへん貴重で、有意義な経験となりました。
東京で好評を博した『刀剣乱舞-本丸博-』は、その後大阪・仙台・福岡・名古屋を巡回。『香雅堂』が監修した4種の香りが、会場で皆さまをお迎えしました。
『刀剣乱舞-本丸博-』公式サイト http://honmaruhaku.jp/